百年たっても目もあわない

ここでわたしは 息継ぎを忘れた

"Rival"のイワモトの手振りを深読みする

2018年9月、日生劇場では『少年たち そして、それから…』が上演されていた。


Snow ManSixTONESが揃って出演する『少年たち』の公演は今年で4年目。

出演は Snow ManSixTONES の12人に加え、東京B少年から岩崎大昇くん、少年忍者。

すのすとの少年たちに4年目の新たな風が吹いた。





………などと書いてはみたけれど、ここまではあくまでも前置き。


今回わたしがお話ししたいのは、

劇中の1幕、ジェシーとイワモトが歌う "Rival" の1番のサビの前半でイワモトが行っていた手振りについての深読みだ。



先に述べておくけれど、これは 岩本照さんのセンスに魅せられすぎて頭が沸いてしまったオタクのめちゃくちゃ個人的な解釈であり、完全に深読みのしすぎである。

わたしが勝手な深読みをしすぎたせいで具合が悪くなってしまわれる可能性がある方は、ここから先へ進むことをお勧めしない。

解釈の違いについて討論するのは大好きだけれど、解釈の違いで喧嘩するのは遠慮したい。


つまり、あの、読んでも怒らないでほしい。







それでは、始める。



まず、"Rival"の1番のサビの歌詞と "Rival"でのイワモトの手振りをおさらい。



”Rival”の1番のサビでは、ジェシーとイワモトのそれぞれ歌詞も音程も違う2人の声が重なって美しいハーモニーを生み出し、最後の1フレーズで2人の歌詞がぴたりと合わさって共鳴する仕組みになっている。底抜けにエモい。


イワモトのみが歌っている1番のサビ前半の歌詞は



立ち止まるこの感情の狭間で

答え無き罪に囚われながら

償える術があるのなら



である。

この詞を歌うタイミングで、今回の深読みの対象となる、あの素晴らしいイワモトの手振りが行われる。


イワモトの手振りは、


①「この感情の」で 左手首を拘束していた右手がふわんと外れる

②「狭間で」で 外れた右手で右側に扉を開くような動作をする

③「答え無き」のあたりで 左腕の肘の内側から左手首へ右親指を滑らせて、右親指で左手首を切る

④「罪に」のあたりで 切った左手首を右手で押さえて止血する

⑤「囚われながら」で 右手で自分の首をぐっと絞めて、そのまま喉から下へ右手を少し滑らせる

⑥「償える」で みぞおちの前あたりで両手首をくっつける


という感じだったと記憶している。



この①から⑥までの手振りは、この後の文章では①から⑥の番号で登場します。
説明を省略していることが多々ありますので、そのたびにここに戻ってきて確認…という面倒くさいことをさせてしまうかもしれないことをあらかじめご了承ください。
もしくは雰囲気で読んでください。

わたしの記憶が大幅に間違っている可能性があるが、そんなこと言ってても始まらないので次に進む。




これらの一連の手振りについてのイメージとしては、


③で左手首を切った右親指ではナイフが表現され、

⑥では体の前へ差し出した両手首には手錠がかけられている


というものだと解釈している。




では次に、この一連の動作の表すものについて、考えられる可能性や論点、それらに対して勝手に立てた仮説を1つずつ考えていく。



まず全体的に見たこれらの手振りについては、

『手振りの付いた部分の歌詞と手振りがリンクしてる説』

『全体的な歌詞の意味合いと手振りがリンクしてる説』

が考えられる。




ひとまず『手振りの付いた部分の歌詞と手振りがリンクしてる説』について検討する。



この仮説を正しいものと仮定して手振りの意味を深読みすると、
②の 右側に扉を開くような動作の意味として、これは 扉を開ける ではなく 隙間をこじ開けているのであって、それが「狭間」を表しているのではないか、みたいなことになった。



……これは多分違うな。なんか言ってるそばから全然違う気がした。


しかも②以外は全然当てはまらないじゃん。見切り発車すぎた。やめよう。





『手振りのついた歌詞と手振りがリンクしてる説』は早々にダウンしてしまったので、次に『全体的な歌詞の意味合いと手振りがリンクしてる説』について検討する。



この仮説を正しいものと仮定すると、1つ1つの手振りに対して問題点が見つかってくる。



ここからきっとめちゃくちゃ長くなるので、気合いを入れ直して 1つずつ考えていくことにする。





まずは ① において、


右手の拘束、外れてるか外れてないか問題


が生じる。




……ハァ?何言ってんの?あなた最初の方に 右手の拘束が外れる とかドヤ顔で言ってましたやん?



わかる。そう思う気持ちもよ~くわかる。というかわたしもそう思う(?)



でももしかして、わたしが「左手を拘束する右手がふわんと外れる」と思った動作が、単に次の ② 右手で右側に扉を開くような動作をする に続くために便宜上、というかただ左手を掴んでいた右手を離さないと次の動作に移ることができないから離しただけだったら……



この認識の違いがあるだけできっと導き出される答えはまったく違うものになる。



となると、見過ごすわけにはいかない。大切な論点である。



まず、この右手の拘束が「外れている」とすると、左手を拘束していた右手が表現するものは何だろうか?

考えついたものを箇条書きで並列していく。



・罪の意識

この場合、① は 右手=罪の意識 の拘束が解けることになるため、イワモトが罪の意識から解放された、という意味合いになる。

個人的には、意味合い的には微妙かな…という印象である。



・理性や常識

この場合、① は 右手=理性や常識 の拘束が解けることになるため、理性や常識の制限を受けなくなってしまったために イワモトは罪を犯して刑務所に来たのかな…?と、その後のストーリーも深読みできる。



・手錠が外れる

この場合、① は 右手=手錠 の拘束が解けることになるため、イワモトを拘束していた手錠が外れたことを意味することになるだろう。




……ん?……手錠が外れ……る……?




そう。手錠が外れているのだ。


つまり、この立場を採ると さらに

イワモト、昔にも刑務所にいたことがあるのか問題

が発生する。


刑務所にいたことがあると考えると、パターンとして「刑期を終えて出所」パターンと「脱獄」パターンが考えられる。


まず、「刑期を終えて出所」パターンについて考えると、これは普通に手錠が外れているのでわかりやすい。


次に「脱獄」パターン。


……嘘……でしょ?……イワモトが……脱獄……?イワモト、脱獄したっぽさなさすぎやろ……(個人の感想です)



……あ、脱獄 といえば 集団脱獄事件 じゃん。


と思ったのだけれど、この頃のイワモトはまだ資料室で戦争の資料を見つけていないし、集団脱獄事件のことを知らないはずである。却下。




以上より、『手錠が外れる』という立場を採った時に生じる「イワモト、刑務所にいたことがあるのか問題」では、「刑期を終えて出所」パターンが有力であろう。





では次に、①での右手の拘束が「外れていない」とすると、左手を拘束していた右手が表現するものは何だろうか?



・親友だと思っていたジェシーに裏切られた悲しみ

「立ち止まるこの感情」に ジェシーに裏切られた悲しみを 月日が経っても抱え続けているイワモト を重ねると、つまり イワモトはその悲しみに縛られたまま 前に進めずにいる という意味合いになる。

めちゃくちゃ気が早いけれど、これが 2幕にてイワモトがキョウモトに「いつまで甘えてんだよいつまで拗ねてんだよ!」と声を荒げられたことに繋がっていくのではないかと考えてしまうために、個人的にめちゃくちゃワクワクする立場である。



・罪の意識や後悔、自責の念

この場合、イワモトは自ら犯した罪の意識などに縛られたまま動けない という意味合いになる。

この段階でイワモトが罪を犯しているとすればわかる。



・落伍者のレッテル

”嗚呼思春期”で看守長から言われてたやつや……!俺は地獄に突き落とされたァァァァアアア!!!!!!(ドラム)

……普通に取り乱した。次の論点に進もう。






さて、それでは ②「狭間で」で 外れた右手で右側に扉を開くような動作をする について深読みする。



ここでは、

右手でこじ開けているものが何なのか問題

が生じる。


ではまた列挙していく。



・こじ開けているのではなく、邪魔なものを退かしている

この場合、イワモトにとって邪魔なものを排除する ということになり、つまり人を殺したとか……?と深読みがはかどるし、そのまま単純に人を殺したということにしてしまえば イワモトが刑務所に来た理由にもなる。



・精神的な扉

この場合、イワモトが心を開く・前に進む という意味合いになるが、"Rival"を歌っている頃のイワモトにおいてはそのような兆しはあまり見られないので 微妙な線である。



・物理的な扉

この場合、イワモトは物理的に扉を開けて外に出る・拘束を解かれる ということになりそうである。


では、イワモトは何の扉を開いて外に出たのか?





……やっぱり刑務所の扉じゃない?






ここにきて イワモト、過去にも刑務所にいたことある説 がわたしの中で濃厚になる。



一旦整理しておくが、先ほど考えた ① の 右手の拘束が「外れている」という立場から考えると、② の 物理的な扉=刑務所の扉 を開ける描写は、「刑期を終えて(=手錠が外されて)出所した様子」を表すことになる。


また、① の 右手の拘束が「外れていない」という立場から考えると、② の 物理的な扉=刑務所の扉 を開ける描写は、「罪の意識に苛まれながら出所したが、落伍者のレッテルに縛られている様子」を表すこととなる。






では次に、③「答え無き」のあたりで 左腕の肘の内側から左手首へ右親指を滑らせて、右親指で左手首を切る について深読みしていきたい。



ここでは、手首を切る動作が何を表すのかについて考えていくのだけれど、正直な話、この動作の解釈は 個人的には「自分を責める」一択なので、特に立ち止まって広げることなく進めることにする。




③ との関連で ④「罪に」のあたりで 切った左手首を右手で押さえて止血する について考えると、「手首を切る→止血する」という動作は、直接的には「死のうとするが死にきれず……」ということになる。


つまり ③ から ④ へと繋がる動作のイメージとしては、「自分を責めるもどうすることもできない宙ぶらりんな状態に対する苦しみ」ということになるのではないかと考えられる。





それでは、 ⑤「囚われながら」で 右手で自分の首をぐっと絞めて、そのまま喉から下へ右手を少し滑らせる について深読みしていきたい。



ここでは、

誰もしくは何が首を絞めてるか問題

が生じる。




・自分

この場合、自分で自分の首を絞めるということになり、これを 物理的に、自分で自分の首を絞める と捉えると、③ と ④ で触れたように、イワモトが死にたくなるほどの苦しみや後悔などの感情に囚われている様子が浮かび上がる。



・過去に犯した罪の意識

この場合、イワモトは過去に犯した罪の意識に囚われ苛まれる という意味合いになりそうである。

また、これを イワモト、過去にも刑務所にいたことある説 に照らして考えると、「過去の罪の意識に囚われるあまりにイワモトはまた同じ過ちを繰り返し、積み重なる罪の意識が自らの身を滅ぼしていく」みたいなイメージになりそうである。



……なんか、めちゃくちゃそれっぽくなったな。



じゃあ首を絞めた後に喉から下へと右手を滑らせたのは、罪の意識が体中に広がって全身を蝕んでいくイメージでいいってこと……?

何それめちゃくちゃエモいじゃん……



・落伍者のレッテル

俺は地獄に突き落とされたァァァァアアア!!!!!!(ドラム)(再上演)


冷静に考えると(どこが冷静なのか)、これは明らかに イワモト、過去にも刑務所にいたことある説 の流れを汲んだものであるのだけれど、シャバに出たはいいものの、元囚人というレッテルを貼られ、どうしても受け入れてはくれない世の中が イワモトの首を絞め苦しめる という解釈になるかと考えられる。





では、最後に ⑥「償える」で みぞおちの前あたりで両手首をくっつける について深読みしていく。



……いや、この動作については もはや深読みとかではない。


この動作を見たら、きっと満場一致でこう思うのではないか。






ああ……捕まったんだな……






だよね。わたしもそう思った。わかる。


もうここは「捕まっちゃったんだな~」とかでいいんじゃないかな。(適当にすな)








以上より、これらの論点を踏まえつつ、わたし個人の主観も存分に混ぜつつ、それっぽくまとめたい。




今回の深読みで何度も出くわしたあの仮説、



イワモト、過去にも刑務所にいたことある説



これを軸として、個人的な結論を2パターンに分けたい。






まずは、イワモト、過去にも刑務所にいたことあるパターン


罪を犯して1度刑務所に入ったイワモトは刑期を終えて出所したが、シャバに出ても落伍者のレッテルはいつまでもイワモトに付き纏って罪の意識や後悔が薄れることはなく、何をやっても受け入れてはもらえない自分を責めてしまい、その罪の意識がついには自らの身を滅ぼし、イワモトはまた刑務所へ……




そして、イワモト、過去に刑務所にいたことないパターン


一番の仲間だと思っていたジェシーに裏切られ我を忘れたイワモトは罪を犯し、罪の意識から自分を責めるも やがて自ら犯した罪が自らの身を滅ぼし、イワモトは刑務所へ……





ということになると考える。












はあ……割と長かったな……



ようやくわたしの中の少年たちが終わった(ちなみにこの深読みを無事に終えることができたのは Snow Man深澤辰哉さん・佐久間大介さんW主演の舞台「キャッシュ・オン・デリバリー」の幕が開く1日前、また Snow Man岩本照さん・渡辺翔太さん・阿部亮平さんトリプル主演の舞台「愛と青春キップ」の幕が開く2日前である)(滑り込み)





まあ、だから、その、「少年たち そして、それから…」お疲れ様でした……


めちゃくちゃ無駄な深読みに膨大な時間を費やしたわたしも、お疲れ様でした……